最近の感心ごとである、着付けと寸法の関係性について。
着付けにおいて特に、衣紋の抜き加減、衿合わせ、衿元の着崩れ等、衿元の悩みが一番多いのではなかと感じています。その中でも衣紋の抜きに関しては、自分で着る時は直視できない部分である為、身体の感覚で確かめながら決めなければならなく、苦戦するものです。かつ、衿元は皆の視線が注がれ、品格が表れるとても重要な部分です。
更には、色香が漂う、女性にとっては勝負ポイントでもあります。だからこそ、それらを表現する美しいラインとなる様、毎回丁寧に着付けることを心掛けております。
衣紋の原理は、着付けと仕立てにおいて繰越(くりこし)をつけることによって抜くものです。
現在、繰越の寸法は一般的に5〜7分とされていますが、衣紋を抜き気味に着たい方はそれよりも大きく(最大で一寸)つけ、逆にあまり抜かない方は小さくと、それぞれの着方に合わせて寸法を決めるのが良いかと思います。
また、長襦袢ときものの繰越寸法が違うと衿が上手く沿わないこともあります。着れば着るほど、その奥深さを感じ、どうすれば美しい着姿になるのか、追求欲が湧いてきます。
洋服でもお洒落な方ほど、ご自身の体型に合ったサイズのものを着てらっしゃいます。オーダーメイドで誂えたり、既製品でも袖が長ければ詰めたりと、手を加えておられます。そのちょっとした差が、着姿に美しさをもたらし、着心地も良く動きやすいという効果まで生じさせているのです。
これらを鑑み、お洒落と寸法は密接な関係にあると考えます。
着方だけでなく、体型も人それぞれです。理想とする着姿をイメージし、身体と対話しながらご自身に合う寸法を探究することもお洒落の楽しさの一つだと思います。
また、きものフリークの方の中には、「和裁士さんの仕立て方(縫い方)によっても着心地が違う」とおっしゃられる方がおられます。なんともきものは奥深かく、楽しみの追求も無限大にあるとしみじみ感じます。